読書(感想)

伊坂幸太郎『ラッシュライフ』

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その…

西尾維新『クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子』

「紫木一姫(ゆかりきいちひめ)って生徒を学園から救い出すのが、今回のあたしのお仕事」 「救い出すって……まるで学園がその娘を拘禁してるみたいな言い方ですね」 人類最強の請負人、哀川潤から舞い込んだ奇妙な依頼に従って私立澄百合(すみゆり)学園、…

浦賀和宏『眠りの牢獄』

階段から落ちて昏睡状態になってしまった女性をめぐり集められた3人の青年。3人は核シェルターに閉じ込められ、そこから出る条件は彼女を突き落としたのは誰なのか告白することだった。同時に外では完全犯罪の計画がメール交換で進行。ラストで明らかになる…

西尾維新『ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹 』

永遠に生き続ける少女、円朽葉をめぐる奇怪極まりない研究のモニターに誘われた「戯言遣い」のぼくは、骨董アパートの住人・紫木一姫と春日井春日と共に京都北部に位置する診療所跡を訪れる。が、そこに待ち受けていたのは…。 Amazon.co.jp: ヒトクイマジカ…

浦賀和宏『記号を喰う魔女』

「僕が死んだ時、居合わせた人間達を僕が生まれたあの島に向かわせてください」そう遺言を残し中学生が自殺した。孤島を訪れた5人の同級生を襲う殺戮劇。死体には全て「逆さV」の記号が残されていた。 Amazon.co.jp: 記号を喰う魔女 (講談社ノベルス): 浦賀…

我孫子武丸『8の殺人』

“8の字形の屋敷”ゆえに案出された、不可解極まる連続殺人。速水警部補と推理マニアの彼の弟&妹の3人組が挑戦するが、真相は二転三転また逆転――。鬼才島田荘司氏に“本格ミステリー宣言”を書かしめた、2人目の大型新人の本格的にして異色、かつ絶妙のユーモア…

上遠野浩平『ロスト・メビウス―ブギーポップ・バウンディング』

いつか、必ずそれはバウンドして、君の前に戻ってくる――。 ブギーポップに復讐する―― その執念に取り憑かれた少年が、内気な少女・織機綺(おりはたあや)と共に“牙の痕”と呼ばれる地に足を踏み入れた時、混迷は幕を開ける。 メビウスの輪のように表裏も定か…

綿矢りさ『蹴りたい背中』

長谷川初実(ハツ)は、陸上部に所属する高校1年生。気の合う者同士でグループを作りお互いに馴染もうとするクラスメートたちに、初実は溶け込むことができないでいた。そんな彼女が、同じくクラスの余り者である、にな川と出会う。彼は、自分が読んでいるフ…

浦賀和宏『とらわれびと―ASYLUM』

大学構内で発生した連続殺人。被害者はみな男性で、腹を切り裂かれて殺されていた。犯人を捜していた被害者の姉は、「妊娠」した男が次々と失踪するという奇妙な事件に出くわす。非日常の犯罪は「笑わない男」の指摘で予想もせぬ真相を明らかにする。圧倒的…

大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』

1カ月前に学校から消えたなつみさんは、新興宗教オモイデ教の信者になって再び僕の前に現れた。彼らは人間を発狂させるメグマ祈呪術を使い、怖るべき行為をくりかえしていた―。狂気に満ちた殺戮の世界に巻き込まれてゆく僕の恋の行方は?オドロオドロしき青春…

麻耶雄嵩『翼ある闇―メルカトル鮎最後の事件』

首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、…

成田良悟『バッカーノ!―The Rolling Bootlegs』

禁酒法時代、ニューヨーク。裏組織“カモッラ”は重要な儀式を数日後に控えていた。泥棒カップルはグランド・セントラル・ステーションに着いたばかりだった。マフィアの三兄弟はちょっとした問題を抱えていた。チンピラの少年は思い通りにならない現実にムカ…

山田真哉『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学』

会計学入門・入門の書。表題「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」や「ベッドタウンにある高級フランス料理店はお客が全然入っていないのに、なぜやっていけているのか?」などの日常生活で生まれる身近な疑問について、各章では語られる。といっても「さおだ…

森博嗣『笑わない数学者―MATHEMATICAL GOODBYE』

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事…

浦賀和宏『頭蓋骨の中の楽園』

首無し死体となって発見された美人女子大生、菅野香織。彼女の死と殺害方法は、ミステリ小説の中で、何故か予告されていた。首は見つからぬままに、再び発見される女子大生の首無し死体。異常なる連続殺人の背後には、密室の中で首を切断して自殺した作家の…

森博嗣『すべてがFになる』

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思…

浦賀和宏『時の鳥籠』

私は、この子がそう遠くない未来に死んでしまうことを知っている―初対面の少女の自殺を、何故か「私」は知っていた。「私」の生まれてきた理由は、その少女を救うためだから…。少女に出会った途端、意識を失った「私」が、過去を語り出すとき、日常は、呆気…

秋月涼介『月長石の魔犬』

右眼に藍玉(アクアマリン)のような淡い水色、左眼に紫水晶(アメジスト)のような濃い紫色の瞳をもつ石細工屋店主・風桜青紫(かざくらせいし)と、彼を慕う女子大生・鴇冬静流(ときとうしずる)。先生に殺されたいと願う17歳の霧嶋悠璃。境界線(ボーダ…

黒田研二『ウェディング・ドレス』

前知識 著者の黒田研二は「くろけん」のHNで、古くからニフティのフォーラムや、個人サイト「KUROKEN's Mystery Museum」で活動している人らしい。いわゆる「その筋の人」 ストーリー 純愛か裏切りか。結婚式当日の凌辱から、わたしとユウ君の物語は始まった…

氷川透『真っ黒な夜明け』

推理小説家志望の氷川透は久々にバンド仲間と再会した。が、散会後に外で別れたはずのリーダーが地下鉄の駅構内で撲殺された。非情の論理が唸りをあげ華麗な捻り技が炸裂する。第15回メフィスト賞受賞作。 氷川 透。横浜生まれ。A型、射手座。東京大学文学部…

古泉迦十『火蛾』

十二世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。男が語ったのは、姿を顕わさぬ導師と四人の修行者たちだけが住まう山の、閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。未だかつて誰も目にしたことのない…

乾くるみ『Jの神話』

聖なる女子高に潜む悪魔の正体は!? 全寮制の名門女子高「純和福音女学院」を次々と怪事件が襲う。1年生の由紀は塔から墜死し、生徒会長を務める美少女・真里亜は「胎児なき流産」で失血死をとげる。背後に暗躍する謎の男「ジャック」とは何者か?その正体…

村上龍『五分後の世界』

5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減していた。国連軍との本土決戦のさ中で、アンダーグラウンド兵士の思いは、こうだ。「人類に生きる目的はない。だが、生きのびなくてはならない」。大塚英志が著書で触れてたが、この作品の「作品世界…

清水義範『蕎麦ときしめん』

読者はパスティーシュという言葉を知っているか?これはフランス語で模倣作品という意味である。じつは作者清水義範はこの言葉を知らなかった。知らずにパスティーシュしてしまったのだ。鬼才野坂昭如をして「とんでもない小説」と言わしめた、とんでもない…

大塚英志『キャラクター小説の作り方』

物語の舞台や登場人物をどう設定するか。オリジナリティ、「おもしろさ」とは何か。みるみる書ける小説入門! これは実用的な小説入門書であり、本気の文芸批評です。登場人物をどう決めるか。作品世界をどう作るか。オリジナリティとは何だろう。新しい文学…

原りょう『そして夜は甦る』

ルポ・ライターの失踪、怪文書、東京都知事狙撃事件…。西新宿に探偵事務所を構える沢崎が立ち向かう難事件の背後には巨大な陰謀が隠され、鮮やかなラストシーンに向って物語はスピーディに展開してゆく。レイモンド・チャンドラーに心酔する、ジャズ・ピアニ…

佐藤友哉『鏡姉妹の飛ぶ教室 鏡家サーガ<例外編>』

これぞ、佐藤友哉。 あの『クリスマス・テロル』から3年。おかえりなさい、佐藤友哉! 佐奈を待つものそれは死か? それとも死か?? 誰もが365日分の1日で終わる予定でいた6月6日。鏡家の三女、鏡佐奈は突然の大地震に遭遇する。液状化した大地に呑み込ま…

高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』

詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前に…

殊能将之『ハサミ男』

ネタバレはしないけど念のためちゅうい これから読むかもしれない人は、あんまり他の人の感想見ない方が良いと思う。それにしても、Amazon.co.jpの「関連書籍」で甘くネタバレされるとは! 美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハ…

北山猛邦『『クロック城』殺人事件』

現在、過去、未来。別々の時を刻む3つの大時計を戴くクロック城。そこは人面樹が繁り、地下室に無数の顔が浮き出す異形の館。謎の鐘が鳴り響いた夜、礼拝室に首なし死体、眠り続ける美女の部屋には2つの生首が。行き来不能な状況で如何に惨劇は起こったか?…