この本を買った理由は、ひとつは大塚英志というおっさん自体が面白いこと。そして文芸批評の部分に興味があったこと。もひとつは、俺の嘘日記作りに役立つ部分を探すためです。
物語の舞台や登場人物をどう設定するか。オリジナリティ、「おもしろさ」とは何か。みるみる書ける小説入門!
これは実用的な小説入門書であり、本気の文芸批評です。登場人物をどう決めるか。作品世界をどう作るか。オリジナリティとは何だろう。新しい文学が現れつつある今、もっとも注目される評論家/小説家が、誰でも書けるメソッドを教える。
ジュニア小説、ゲーム小説だけでなく、純文学、ミステリー、まんが、アニメ、映画まで応用できる!
結論から言うとこの本は面白かったです、お薦め。「スニーカー文庫のような小説」=ジュニア小説=ライトノベルに全く興味が無く「知りたくもない!」って人にもお薦め。とりあえず書店で手に取ったら「あとがき」から読んでみて下さい。ただ、この本が作家志望の方にとって実用的なハウトゥ本であるかはよく分かりません。僕は作家志望ではないので。まずは単純に読み物として受け取ってはいかが。
読み終えて、この本が良くできてるな、と思ったところは作中で書かれているノウハウをこの本自体にも適用させていることです。近代文学における言文一致の「私小説」というものが、文学の発展に大きく携わっているのに対して「キャラクター小説」というものは、作者の目を通した「私」ではなく、その前提としてまんがアニメゲームのキャラクターを元とした「仮構の私」で語らなければならない。と、述べているのを読むと、「キャラクター小説」は虚構で占められている部分が多く、現実的な意味での「私」が"欠けている"、と思わせますが。最後まで読み進めると、仮構の現実の中でしか書けないわたしたちがその限界を認識することによって、新しい「文学」の形が「キャラクター小説」の中に生まれてくるのではないか。という締めくくりになっています。これは本書第四講−架空の「私」の作り方について、や第八講−お話の法則を探せ、で触れられている「欠けているものを回復する」というアメリカ民話に習ったやり方と深くリンクしてくるように思わせます。この部分は本書の一部分ですが、僕がカバーしきれないだけで本書で語られている「ノウハウ」を適用したと思われる部分は他にも多々登場しています。何を言っているのはよく分からないでしょうが、僕もよく分かりません。
本書のタイトルは「キャラクター小説の作り方」ですが、ここで語られている数々のノウハウは、帯にあるとおり「応用できる」ものとしてすべての読み物(テキスト)に有効だと思います。例えばこの稚拙な読書感想文にだって、ある程度パターン(記号)やノウハウを適用させれば「おもしろい」ものになるのかもしれません。
【4】
- 作者: 大塚英志
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02/20
- メディア: 新書
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