中田敦彦のYouTube大学チャンネルについて

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中田敦彦YouTube大学がどういうものかというと、チャンネルホストの中田敦彦さんが自分の興味のあるトピックについて本を読み、それについて学校の授業のように視聴者に講義をする。といった体裁を持つYouTubeチャンネルである。

テレビ時代から中田敦彦を知るマスなファン層には「ためになる」と好まれていて、ちょっと斜に構えたネット民からはいくつかの理由で迎合されていない。ぐらいのポジションにいる。

本の要約チャンネルの側面

このチャンネルの基本スタイルは特定の本(参考図書と呼ばれる)の内容をホワイトボードに要約し、それを前後編1時間弱の時間で解説するという動画が多い。

複数の本を1つの動画の同じテーマとして取り扱う場合もあれば、1冊の内容をそのままの時もある。

動画に取り上げる本については「許可を取っている」と本人は発言していた(出版社に?)。

ただ動画のタイトルや概要から書籍のタイトルが分かるようにはなっておらず、サムネイルでの情報はテーマぐらいしか分からないが動画の中身は本の話をしている(たまに書影が載っていることはある)。

過激な意見が出てくると「私ではなくこの本の著者が言っていること」というエクスキューズが度々出てくる。よく「このチャンネルは誤った情報を発信しているのではないか?」という批判を見かけるけど、内容の信憑性は本に依存している。

「資産運用や投資について大量の情報を発信しているが本人は興味がすごくあるのでたくさん調べているだけど、実践はまだしていない」「せどりやネットビジネス・個人M&Aのノウハウを発信しているが本人はやったことがない(「収入が少なく投資する資金がない」という視聴者のフィードバックへのアンサーとして制作されたなどの文脈があったりする)」みたいな状況がよく起きている。

これらの動画がどのように制作されているのかが以下のドキュメンタリー動画で語られている

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これを観て気付いたこととしては、動画で見える部分はかなりテンションを上げている。舞台に上るような感覚だろうか。考えて見ると当然なのだけどあまり意識していない部分だった。

あとテレビ番組のように綿密にコンテンツの構成を準備している。

コミック解説動画の不思議

本の要約だけでなく特定のコミックシリーズのストーリーを全部解説する。という趣旨の動画がいくつかある。

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コミックを読めばいいのでは? なぜ絵のないストーリーだけ視聴したい人がたくさんいるのが疑問だったけど、動画は動画で結構面白い。

なので視聴者的には中田敦彦が演じる講師の立ち振る舞いや表現を楽しんでいる、という部分が大きいのだろうと思った。

フリーアジェンダポッドキャストではこれを「落語のようなもの」と表現していた。

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これは言い得て妙で、自分は脚本と演出と演者がそれぞれ機能化している演劇のようなものをイメージした。

物語の脚本を実演するのではなくて、ノンフィクションの情報レポートを著者にかわって代弁する違いはあるけど。

勉強した内容を発信する

「勉強した内容をコンテンツとして発信する」やっていることはこれなんだけど、はてなんか既視感あるなと思った。

そうソフトウェアのエンジニアが学習したことをQiitaやZennに投稿するあの行為に似ているのだ(そして強い人にSNSでツッコまれる)。

そう考えると数々のツッコミは「公式ドキュメント読め」が言いたいことなんだなと思う。

実際僕も中田敦彦YouTube大学チャンネルで存在を知って購入した本がいくつかある。

strobofmでもソフトウェアエンジニアの2人がこのチャンネルについて感想を述べている。

strobo.fm

好奇心は資源のようにコントロールが難しいので、継続的に本を読むだけでもかなり実現が難しいことだと思う。

オリジナル動画

本の要約ではないオリジナル講義の動画がいくつかあって、むしろそっちのが面白い。

政治家の派閥争いをかけあい調に語る動画はいくつかある。出馬した候補の個人サイトのWeb日記の過去ログ全部読んでいたりして、この話題好きなんだろうなというのが分かる。

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世界史の動画もいくつかそうっぽいんだけど、僕が興味なかったのでまだ観てはいない。