突然妙なことを言い出しますが、音楽というものは自然の時間の流れの中に、あえてそれとは違った秩序を持った時間の流れを作り出すものですとにかく音楽というモノは娯楽であるとか癒しであるとか言われるが、僕の心を確実に負の方向へ持って行ってくれるモノがいくつか存在する。そういうモノについて他者に同意を得ようとしても失敗に終わることが多く、これは人の感性によって変わってくるもの、しかし誰にでもあるはず「誰しも心に死にたいソングを」と思うようになった。"死にたい"ってのはただの言葉遊びで、本質的には「気の滅入るおうた」ぐらいにしか思っていないので「いのちのはてなダイアリー」勢の方々は心配しなくてもいい。
僕にとっての死にたいソングは一般的に連想される森田童子や山崎ハコ、中島みゆきなのではなく、ダントツでみんなのうた「メトロポリタンミュージアム」だった。この歌、深夜にメトロポリタンミュージアムに忍び込んだ女の子が寒がりの天使の像に靴下を片方あげたり、ファラオのミイラと一緒に躍ったりして最終的には絵画の中に"閉じこめられてしまう"という歌なんだけど歌詞とは裏腹にとても陽気なメロディーが印象的、とても気が滅入る。そして困ったことに僕はこの歌が大好きだ。素晴らしいバラードで涙することもなく、有名なオーケーストらの演奏で心躍らせることもなく、ファッションの最先端を進むHIP/HOPにリスペクトする事もない僕は、ただ"気の滅入らせてくれる歌"に何かしらのチカラを感じ、魅力的に思っているのだろう。
人とコミュニケーションをはかる上で「どんな音楽聞くの?」という便利な話題があるが、そういう時は自分が思う"音楽の判るヒト"を演出し、くるり、スーパーカー、クラムボン辺りから適当に言っておけばいいものを*1、歌い手も覚えていないメトロポリタンミュージアムやしあわせのうた*2、さんすうのうた*3をあげてしばしば不可解な顔をされてしまう。
そして最近新たな一曲を発見した。メトロポリタンミュージアムに勝るほどのチカラを感じる歌、それが安田成美「風の谷のナウシカ」だ。お世辞にも上手いと言えない安田成美の歌声に高・低のブレの少ないメロディーがズシンとクる。興味ある人は最近ジブリ作品の主題歌のマキシシングルが再発してるみたいだから聞いてみてくれ。たぶん、同意は得られないだろうけど。
ちなみにナウシカの映画は見たことがない。