村上龍「愛と幻想のファシズム(下)」

愛と幻想のファシズム〈下〉
村上 龍
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出版社/著者からの内容紹介
混乱の日本に誘発するパニックとクーデター。アメリカの金融資本と全面対決する“狩猟社”
1987年、この危険な小説はすでに現実だ!

恐慌後、ソビエトIMF加入など、世界には奇妙な動きが相次いだ。それらは巨大金融企業集団「ザ・セブン」の暗躍を示すものだった。「ザ・セブン」はゾビエトと秘密協定を結び、危険なイスラエルを排除、日本を完全属国とするプランを実行に移していく。政治結社「狩猟社」は、「ザ・セブン」と対決すべく、自衛隊による擬装クーデターを起こし、ゼネスト後誕生した革新政権を倒して、イスラエル過激派と手を組み核の製造にも着手、さらに海底ケーブル切断による情報封鎖で、新たなパニックを誘発する。カリスマ鈴原冬二ひきいる「狩猟社」は日本を支配し、米ソ共同管理を崩すことができるのか?

こんな糞長い小説を最後まで読んだ自分を誉めたい。同著者の同じような題材の「希望の国のエクソダス」の方が評判が良いみたいです、今度機会があったらそっちも読んでみよう。コレ1冊(上下)を読んで村上龍がなんでぼくが子供の頃から有名で、作品が映画になる度にでかでかと「村上龍原作!!」と打ってあるのか何となく判った気がしました。政治や経済や外交やデフォルトやマトリョーシカに何の興味のないぼくでもすらすらと、まぁややこしいところは斜め読みで堪能できた。登場人物の名前がどっかで聞いたことあると思ったら、どうやら「エヴァンゲリオン」に借用されていたみたいで、懐かしいなアレ。ところで、ものがたりにはケンシロウでもゴクウでもキアヌリーブスでも「絶体絶命のピンチ!!」ってパートが用意されてるのだけれども鈴原冬二には来ないな、順調に成り上がっていったし、アクの強い猛信者が続々政治結社に集まってきたし、ラスボスもいたし、どこか少年漫画みたいな展開だったからどこかで来る、と思って読み進めてたのだけど。あと、武装集団「クロマニヨン」や首領の山岸が若者のあこがれの対象になっているところは窪塚洋介とか「Gボーイズ」*1みたいなものを連想して苦笑いをした。
余談:幹部メンバーの中でぼくが好きだったのは「洞木」、アイツは"萌えキャラ"に違いない。

*1:【Gボーイズ】keyword:池袋ウエストゲートパーク