生成AIが文章校正において強力なツールとなるのではないかという期待があり、去年からいろいろツールを作って試している。
私がノイズっぽい文章の投稿をしていたとしたらそれは実験の結果であることが多い。 口調や一人称がちょいちょい変わってるし。
その過程で出会った『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』の中で紹介されている「エリック・ヘイヨットのパラグラフ解析手法”Uneven U”」は、チャット型エージェントを使ったパラグラフライティングと相性が良いと感じた。
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』ではヘイヨットのパラグラフ解析について以下のように説明されている。
ヘイヨットのパラグラフ解析の手法は、センテンスを抽象度に応じて1から5までのレベルに分類するというものだ。
レベル1は完全に純粋なデータ、エビデンスであり、いわば抽象度ゼロのファクトである。 それにたいしてレベル5のセンテンスはもっとも抽象的で、一般的で、理論的な言明である。阿部 幸大. まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 (Japanese Edition) (p. 88). 光文社. Kindle Edition.
この手法では、段落内の各文を抽象度に基づいて1から5までのレベルに分類し、それを数値による勾配をつけて配置していく。
1から5までの抽象度を線形グラフにするとU字型になるため、「Uneven U」という名称が付けられている。
阿部 幸大. まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書 (Japanese Edition) (p. 92). 光文社. Kindle Edition.
実際にこの方法を試すと、自分にとって非常に書きやすく、読みやすい形式で文章をつくることができた。
以下にその際作ったGPTsのリンクを記載しておく。 日本語でも使用可能なので、興味のある人はぜひ試してみてほしい。
このGPTsを使ってメモ書きしたテキストを入力する例を作成した。 箇条書きでも文字起こしデータでもなんでもいい。
ただ感想や主張を展開するためのものであって、日記や事実を書くものではないので説明的な作文には向かない。
以下の例では朝食にめっちゃパンが食べたい人が自説を展開する。
- 朝食はトーストが至高である。 - なぜなら、パンは四角い形をしているからだ。 - しかし、バナナも朝食に良いという意見もある。 - トーストを食べると早起きが簡単になることもある。 - コーヒーとトーストの組み合わせは宇宙でも人気だと言われている。 - トーストはバターを塗るとさらに美味しくなるが、バターがなければ悲しさが増す。 - とはいえ、冷蔵庫には昨日のピザが残っていることが多い。 - 古代エジプトでもトーストのようなものが食べられていたかもしれない。
これをUneven U Assistantにかけると以下のような結果になる(この例文の分類の精度はいまいち雑だった)。
Sentence | Level |
---|---|
朝食はトーストが至高である。 | 5 |
なぜなら、パンは四角い形をしているからだ。 | 4 |
しかし、バナナも朝食に良いという意見がある。 | 4 |
トーストを食べると、早起きが簡単になることもある。 | 3 |
コーヒーとトーストの組み合わせは、宇宙でも人気だと言われている。 | 2 |
トーストはバターを塗るとさらに美味しくなるが、バターがなければ悲しみが増す。 | 1 |
とはいえ、冷蔵庫には昨日のピザが残っていることが多い。 | 1 |
古代エジプトでも、トーストのようなものが食べられていたかもしれない。 | 2 |
### **指摘** - Level 3の例が少なく、より具体的な概念的なリンクが必要です。 例えば「他の炭水化物との比較において、トーストが持つ特性」などが追加されると良いです。 --- ### **Writing Processに従って再構築** **Level 4 (開始):** 朝食において、トーストが持つ特性は、他の選択肢と比べて特に優れている点が多い。 **Level 3 (リンク):** トーストは簡単に調理でき、早起きをサポートする食事としても評価されている。 また、コーヒーとの相性も抜群で、世界的に人気の組み合わせだ。 **Level 2 (説明):** 古代エジプトでもトーストのようなパンが食べられていた可能性があることからも、トーストは長い歴史を持つ食べ物だと言える。 **Level 1 (証拠):** バターを塗ることで味がさらに引き立ち、冷蔵庫にピザが残っていたとしても、トーストの魅力には勝てないことが多い。 **Level 5 (結論):** **こうした特性を踏まえると、トーストは朝食として至高の選択肢であると言える。 **
指摘に応じてユーザーは加筆して再実行するか、改変するか、それともそのままにするか、判断をする。
さらっと「宇宙」という言葉を削ってマジレスしてくる気の効かせようだ。 執筆者がふいにトランス状態に突入しても問題ない。
そして誰でもこれを余所の言語モデルで試せるようお持ち帰り用システムプロンプトを以下に用意した。
# Structure sentences into five levels of abstraction: Level 5: Abstract and general, oriented toward a conclusion. Level 4: Less general; focuses on problems and connections. Level 3: Conceptual summaries that link evidence or examples. Level 2: Descriptive summaries or establishing shots. Level 1: Concrete evidence, such as direct quotations or raw data. # Writing Process Start at Level 4: Begin with a moderately abstract topic sentence that hints at the conclusion. Descend to Level 1: Provide concrete evidence, moving through Levels 3 and 2 to support your argument. Ascend Back to Level 5: Conclude by returning to a broader perspective, reinforcing how the evidence supports the main claim. # Instructions 1. Classify Sentences by Level: Based on the provided Structure, classify each sentence into the appropriate abstraction level (Levels 1–5) in a table. Do not modify the sentences. If there is any missing level, point it out. 2. Reconstruct a Paragraph: Following the Writing Process, reconstruct one paragraph from the sentences, moving from Level 4 to Level 1, then ascending back to Level 5. Emphasize any added content. 3. The response must be in the same language as the user's input.
使い物になるの?
実はこの手法の有用性は、すでに実証されている。
最近私が執筆した記事はどれも多くの読者に注目され、広く読まれる結果を得ることができた。
これらの記事では、全面的に「Uneven U Assistant」のパラグラフ解析手法を活用している。
もちろん、注目度の高い話題を扱ったことも一因ではあるが、特筆すべきは、このツールが文章の構成において大きな助けとなり、通常12時間かかる執筆時間を大幅に短縮できた点である。
しかし勘のいい読者なら「ツール使っているのになんであんな内容になるの?」と思う記述も目立つかもしれない。
そこはブログなのでAIのアドバイスを完全に無視して、自分の言葉で書き直している。
ルールは破るためにある、論理的なこと予測可能なことはAIにやらせて、人間は感情と飛躍に生きよう。